● 990満点の難易度とレベルは?TOEICリーディング・リスニング勉強法
こんにちは。田村恵理子です。「どうやったら、TOEIC満点が取れますか?」と時折聞かれます。
単に話の糸口として、軽く聞いてみたという場合が大半なのだろうと思います。
もし本気でTOEIC満点とりたいと思われているとしたら、最初にお断りしておきますが、TOEIC990点を目指すことはお勧めしません。
趣味と割り切るのであれば、それはもう個人の自由で、他人がとやかくいう筋合いはありません。トライアスロンのようなストイックな趣味ですね。
キャリアのためにTOEIC満点とりたいと思われているとしたら不要です。
なぜ満点を目指すことを勧めないの?
それでも満点を取りたい場合はどうすればよいの?
田村が初めて990点満点を取った時はどのように勉強した?
そもそも、990点満点の英語力はどれ位のレベルなの?
など、この記事にまとめていきます。
TOEICパート7講座|600点、700点の壁を突破!念願の800点、900点達成も|パート7が得点源に!
TOEIC900点台の難易度や体験談は、こちらにまとめています。
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990点の英語力レベルは?本当にすごいの?
非ネイティブスピーカとしては、かなりすごいレベル
「TOEIC990点満点を取っても英語ができない。」と聞いたことがあるかもしれません。
しかし、客観的にみて、TOEIC990点の人は、日本人としてはかなり英語ができるレベルです。
TOEICテストは、それなりに公正なテストです。少なくともビジネスで使う基本的な英語力に関しては客観的な指標になります。小手先のテクニックを駆使しても990点満点は取れません。
TOEICリスニング&リーディングテストで990点満点取っていると言うことは、英語非ネイティブスピーカーとしては、それなりに高いレベルである証拠になります。
TOEIC800点と900点の英語力は全然違いますし、900点と990点の英語力も違います。
もちろん、TOEICリスニング&リーディングテストは英語を読み、聞きとる能力のテストです。ですから、書く、話す能力はまた別の話となります。しかし、書く・話すためにも、読み・聞きとる能力は前提となりますから決して無関係ではありません。
TOEIC満点でも英語ができない?
TOEIC990点でも、英語ができないと言う話もよく聞きます。
いくつか、理由が考えられます。
TOEICテストは、あくまでビジネス・日常英会話の最大公約数
第1に、TOEICテストは、あくまでビジネス・日常英会話の最大公約数だからです。TOEICテストは、様々なビジネス分野や日常の場面の公約数的な、一般的な話題を扱っています。専門的な話題は登場しません。
ですから、TOEIC満点を取っていても、特定の分野の専門的な英単語や表現は、知らないわけです。その意味で、TOEICは900点程度で卒業して、あなたの専門分野で必要な英語や、スキルを身につけた方が、実際に仕事で使えるようになるのは早いでしょう。
翻訳、通訳の場合も、翻訳スキル、通訳スキルはTOEICでは磨かれません。TOEIC900点を取ったら、満点を目指すよりも、通訳、翻訳のスキルを磨いた方が、早くプロとして仕事できるようになります。
英語が「できる」「できない」は、主観的な部分も大きい
TOEIC満点を取っても英語ができないと言われている理由の第2は、TOEIC満点を取った人が「自分は満点だけれど英語ができない」と言うからではないでしょうか?
特に日本人は堂々と「英語できます」と言う人の方が少ないかもしれません。謙遜の文化がありますし、完璧主義から自嘲的に、あるいは防波線として英語ができないと言っているケースもありそうです。
英語が「できる」「できない」というのは、主観的な部分も大きいです。
英語ができるようになればなった分、自分の英語はまだまだだということも見えて来ます。
自分のレベルが上がるたびに、それまで見えなかった景色が見えてくるのです。
ですから、990点取った人が自分の英語力はまだまだだと言う時、そう感じているのは本当です。
しかし客観的に見て、非ネイティブとしてはTOEIC990点は英語ができると言ってよいレベルです。
声を出さずにTOEICの勉強をしている場合
第3に話せない場合です。TOEICリーディング&リスニングテスト対策の勉強をする過程で、声を出さずに、黙読のトレーニングしかしなかったケースでは、英語が話せないのは、当然です。唇や口や喉の筋肉のエクササイズをしていないわけですから、英語が話せないのは当然です。
英語を話すための前提となる読解と聴解力はあるわけですから、あとは話すトレーニングをすれば、一般の人に比べてずっと早く話せるようになるでしょう。TOEICテストのリスニング問題でも、会話に出てくる表現を学ぶことができます。
TOEICリーディング&リスニングテストと英会話能力
TOEICテストは、かなり実用的です。
海外出張前にTOEICの勉強をされたメルマガ読者さんから、こんなメッセージをいただいています。
TOEICの頻出単語や、リスニングに出てくる言い回しなど、
実際に使えるものばかりだったのですね!
しばらくTOEICの勉強から離れていまして、今回ようやく気がつきました。
今後の仕事の為にも、TOEICを受験しようと思うようになりました。
そうなのです。
TOEICリスニングテストのパート3は会話文です。パート2も応答の問題です。TOEICテストには、実際の会話ですぐに使える表現が、満載です。
TOEICテストの勉強をしつつ、英会話力もアップできます。
そのためには、TOEICテスト対策の勉強に声に出すトレーニングを取り入れることです。
リピーティングやシャドウィングが効果的です。これは、TOEICの勉強と英会話の両方に効きます。
公式問題集のリスニングのCDを聞きながら、スクリプトを目で追いつつ声に出して発音してみましょう。
日本語と英語では、話すときの筋肉の動かし方が違います。英語もスポーツと同じです。実際に声に出してトレーニングしないと、口が回らず、うまく言えません。
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TOEIC満点は万能ではない
ただし、TOEIC満点は頂点ではない
当然ですが、TOEIC満点は英語のスキルとして頂点ではありません。そもそもどんなテストも万能ではありません。
言語能力について、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)と呼ばれる尺度があります。
A1の初級レベルから、A2、B1、B2、C1、C2とレベルが高くなり、C2レベルは、ネイティブスピーカと遜色のないレベルとされています。
TOEICテストLRSWテストは、A1からC1までは測定できるが、C2は測定不能とされています。
もちろん、CEFRと、TOEICや英検、その他の語学試験の点数や級との関係は、一意に決めることができるものではなく、議論があるところではあります。
しかし、TOEIC満点のレベルが、最高レベルではないわけです。
なお、英検やTOEFLもC2は測定不能とされています。
ケンブリッジ英検と、IELTSでは、C2レベルとの換算が示されています。
TOEIC990を取っていても知らない単語はたくさんある
TOEIC990を取っていても、知らない単語はたくさんあります。やや専門的な話になると、本の1ページに10個以上も知らない単語があることもあります。
TOEICテストには専門的な単語はあまり出てきませんが、それでもTOEICテストの中でさえ、知らない単語に出会うこともあります。
私がTOEICテスト中で知らなかった!単語やフレーズは、こちらの記事に、まとめておきました。
つまり、TOEIC満点はとるのは大変ですが、満点取ったとしても万能ではないのです。
就職、転職、キャリアのためならTOEIC900とTOEIC990は同じ
就職、転職の際にTOEICテストを受けているのでしたらTOEIC900点で十分です。実際に、TOEIC900点の採用候補者とTOEIC990点の候補者は、英語に関して同じ扱いとする企業がほとんだと思います。仮に扱いが違うとしても、そのためにTOEIC990点を目指すのは労力が大きすぎるように思います。
TOEIC900はスタートライン?
TOEIC900点は日本人としては英語上級者と言えますが、TOEICテストはビジネス英語のベーシックです。すぐに英語で仕事ができるわけではありません。
実際に、お仕事で英語を使う場合は、その業界の専門用語も必要になります。交渉や、プレゼン等の、英語以外のスキルも必要となります。
翻訳者や通訳者を目指す場合も、同じです。英語力以外に、翻訳スキル、通訳のスキルが必要となります。
私自身、初めて翻訳した時はTOEIC900点台後半でしたが、翻訳は未経験でした。最初の案件は1ページ訳すだけで、もう本当に大変だったことを覚えています。
TOEIC900点を取ったからと言って、すぐに英語で仕事ができるわけではありません。それは考えてみれば当然ですよね。
その意味で、「TOEIC900点はスタートライン」と言われるのでしょう。TOEICテストで、さらに950点や、それ以上を目指しましょうという意味ではありません。
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TOEICテストはキャリアに必要なレベルに達したら卒業
TOEICテストは何点取れば十分なのでしょうか?
キャリアのためでしたら、採用基準、昇進基準の点数を取れたら、十分でしょう。
例えば接客業の場合、採用時点のTOEICの点数としては600点で十分とされる場合も多いです。
本格的に英語を武器にして仕事をする場合も、TOEICは900点で卒業して、あとはご自身の専門分野の英語にフォーカスした方が、より早く実際に仕事で使える英語力が手に入るでしょう。
TOEIC900点から、TOEIC950点やTOEIC990点をとるための労力は、かなりのものです。
たとえば、一旦980点を達成してから、毎回必死に勉強してTOEICテストを受けても、1年以上990点を取れない期間が続くかもしれません。
その期間、TOEIC対策テキスト以外で英語の勉強をしたほうが、トピックにも興味を持って楽しく続けられるかもしれません。
お仕事で英語を活かしたいと思っている場合、TOEIC990満点にこだわらずに、実務のために必要な英語を学ばれるとよいです。
漠然と英語を勉強したいと思われていて、すでにTOEIC900点の英語力がある場合は、英語『を』勉強するよりも、英語『で』何かを学ぶのもお勧めです。
それでもTOEIC990満点を目指したい場合は
完全な趣味と割り切る
どうしても、TOEIC990点を目指したい場合は、山登りや、トライアスロンや、マラソンと同じように趣味としてチャレンジを楽しまれれば、よいというのが、私の考えです。
ある種、修行のようなストイックな趣味です。
あと5点や10点が取れなくて、1年以上かかるかもしれません。
その1年間を、TOEICではなく他のトレーニングにあてた方が、キャリアの面では得策です。
転職や評価の際には、TOEIC950点と990点の差よりも、そのほかのスキルや経験があった方が有利でしょう。
その意味で、TOEIC990点を目指すことは、完全に趣味と割り切ることです。
TOEIC990点は、全問正解とは限らない?TOEICの正答率とスコアの関係
TOEIC990点は、受験者の中での最高点です。ただし、全問正解とは、限りません。
TOEIC点数は、正答率と比例する訳ではありません。受験した回による難易度のバラツキを吸収して、常に一定の基準を保つために、スコアへの換算がなされています。換算の計算式は非公表です。
990をとる勉強法
TOEIC900点を突破したあとTOEIC990点を目指す場合は、自分にとって補強が必要なところにフォーカスすることです。
既にできているところを含めて全体を何度も繰り返すよりも、弱点に集中してトレーニングすることです。
田村が990点を初めて取った時はどのように勉強したか?
私の場合、900点を突破したのは、英検1級を取った後でした。数年ぶりにTOEICテストを受験したら975点だったのです。975点で十分満足でしたから、その後は、当分TOEICテストを受けるつもりはありませんでした。
数年後、とある理由で満点を取りたいと思い、再度TOEICテストを受けることにして、集中的に弱点を補強しました。
私の場合リスニングは得意でほぼ毎回満点ですからリスニング対策はしませんでした。
リーディングも、当時は英文読解問題の英文量もさほど多くなかったこと、また、翻訳もしていましたから英文は読み慣れており、長文は全く問題はないと考えました。
当時は穴埋め問題のパート5の比重が大きく、また、私はなんとなく感覚的に解いているところがあったため、パート5の文法、語法問題が補強すべきポイントでした。そこで、パート5に集中してトレーニングして、パート5の問題集を解いて、できなかった問題を何度も繰り返しました。
結果的に、満点を目指してTOEICを受け始めてから2回目の受験で初めてのTOEIC満点を取ることができました。2回目で満点を取れたのは運が良かったとも思います。ちょっとした問題との相性やケアレスミスで、1、2問落とすこともありえます。その意味で、数を撃つこと、何度も受験することは絶対に必要ですが、もしも当時、私が5回連続で985点取っていたとしたら、その時点であきらめていたかもしれません。
どこを補強すべきか?は人それぞれ異なりますから、しっかり見定めることがポイントです。
TOEIC満点について、まとめ
・労力をかける価値があるか否かは微妙です。
・TOEIC980点から990まで1年以上かかるかもしれません。
・それでも、完全な趣味と割り切ってTOEIC満点を目指すなら、それは止めはしません。
・TOEIC990点を目指す場合は、自分にとって補強が必要なところにフォーカスすることです。
・満点を目指す場合は、TOEICテストはできるだけ沢山受けて数をこなした方がよいでしょう。
ご健闘をお祈りします!
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