be 動詞の代わりに getを使う受動態(受け身)も存在するの?【英文法】

こちらの記事は、ポッドキャスト「TOEIC研究室きくメルマガ」第48話の補足説明です。

ポッドキャストは音声のみで、何かしながら気軽に聞けるのがメリットですが、今回ばかりは、図があった方が視覚的にパッと分かりやすいかと思います。ポッドキャストの補完としてご参照ください。

こちらをクリックすると、ポッドキャストで触れているベン図の掲載箇所までジャンプできます。

ポッドキャストはapple podcast, spotify などの podcast アプリで「TOEIC研究室きくメルマガ」で検索するとでてきます。第48話「be 動詞の代わりに getを使う受動態(受け身)も存在するの?」をお聞きください。

こんにちは。田村恵理子です。受動態(受け身)といえば基本は be動詞+過去分詞の形ですが、今回は get+過去分詞の形の文の話です。

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そもそも受動態(受け身)とは?

受動態(Passive Voice,  受け身)とは、文の主語が動作の受け手となる形式です。つまり、主語が動作の実行者(人や物)ではなく、動作の対象となる人や物になる文法構造です。受動態は「〜される」「〜されている状態である」という意味を表します。

受動態の形式は?

受動態の形式は、be動詞 と 過去分詞で構成されます。つまり、以下の形が基本形となります。

主語 + be動詞 (am/is/are/was/were) + 過去分詞

 

be動詞 ではなく 一般動詞 get の受動態も存在するの?

受動態(受け身)は標準的には be動詞 + 過去分詞の形ですが、be動詞の位置に、be動詞の代わりに一般動詞の get が 使われることがあります。get 以外の動詞が使われることもあります。

動詞の過去分詞は、受け身の意味を持っています。ですから、be動詞 以外の一般動詞+過去分詞の形でも、受け身の意味を表すことができます。

つまり、主語+get + 過去分詞 でも、受け身の意味をあらわすことができます。

その文を『受動態』あるいは『受け身』と呼ぶかどうかは、文法用語の定義の問題になります。

get 受動態(get-passive )

getには色々な意味がありますが become (〜になる)という意味もあります。この意味で、get がいわゆる SVC 構文を作ることがあります。

SVC構文とは、

SVCのC(補語)としては形容詞、または形容詞の働きをする現在分詞または過去分詞が使われます。

getの後ろに形容詞の働きをする過去分詞が用いられると、get  + 過去分詞の形になります。受動態の形ににていますね。

この get+過去分詞 の構文が get 受動態(get-passive )とも呼ばれることがあるのです。

一方、ことさらに「受動態」に分類されないこともあります。

この get+過去分詞 の形式の文をget の受動態と呼ぶか否かは、英文法の専門家でもない限りこだわる必要はないでしょう。どちらでもよいことです。

イチゴが野菜か果物か、あるいは、スイカが野菜か果物か、一般消費者としては、どちらに分類されようとも全く構わないのではないでしょうか?分類について考えても考えなくても、美味しさに変わりはありません。

 

一般動詞 get の受動態(受け身)の例文

一般動詞の get を使った受動態(受け身)の例文をあげておきます。

Her laptop got stolen.
彼女のラップトップコンピュータが盗まれました。

The cake got burnt.
ケーキが焦げてしまいました。

Their plans got canceled.
彼らの計画が中止されました。

 

be 動詞の受動態(受け身)と 一般動詞 get の受動態(受け身)の違いは?

受動態(受け身)で get が使われた場合の意味はどうなる?

get+過去分詞の形は、非公式な場面での口語、つまりカジュアルな場での話し言葉で主に使わます。

通常の be 動詞の受動態に比べて、get という意味のある動詞を使っているため、若干ニュアンスが異なることもあります。

be動詞は状態を表しますが、getは変化を表します。

たとえば、

I’m used to it.(慣れている)というと、現在の状態を表しますが、

I want to get used to it.(慣れたい)というと、今は慣れていないが、この先「慣れている」状態へと変化したいというの話です。

They were married. (彼等は結婚していた)というと、過去のある時点での状態を示していますが、
They got married. (彼等は結婚した)というと、過去のある時点で、結婚したという出来事があったことをしめします。

(注意)なお、be 動詞の受動態でも、「~される」という動作を表すときと、「~された状態にある」という状態を表すときがあります。どちらかは、文脈で判断することになります。

ニュアンスとしては、get 受動態の場合には、動作そのものや行為に関わる人が、通常のbe動詞の受動態の場合よりもやや強調されます。

また、get受動態は、ネガティブな出来事や、望んでいたこととは違う出来事が起きた時にも使われます。

日本語でいう『〜されてしまった。』「〜になってしまった」に近いかもしれません。

 

be 動詞の受動態と get 受動態(受け身)の違い

通常のbe動詞の受動態と違い、get は一般動詞ですから、否定文や疑問文の形が、一般動詞の文と同様の形となります。つまり、現在形であれば助動詞 does が、過去形であれば助動詞 did が用いられる形となります。

平叙文
Her laptop got stolen.

疑問文
Did her laptop get stolen.?

否定文
Her laptop did not get stolen.

 

get+過去分詞のバリエーション

get受動態とともに、再帰代名詞 (reflexive pronoun) が使われる場合もあります。

I got myself + 過去分詞 の形です。受け身ではありますが、主語の人も、起きたことについて若干、関与している、責任があるというニュアンスになります。

(これは、SVOC の文型になります)

 

 get 以外の一般動詞も受動態を作りますか?

get 受動態(get-passive )と同様の構文では、get 以外の一般動詞も使われます。

SVC の文型のC(補語)が形容詞の構文で、過去分詞が形容詞として用いられている場合です。

よく使われる動詞は、たとえば以下のようなものがあります。

見かけ: seem, look

動作、変化:(get), grow, become (動作の受動態であることを明示)

状態にとどまる:stay, remain, lie   (状態の受動態であることを明示)

感じる:feel

これらを使った SVC の文型も C に過去分詞が使われていると、受け身の意味合いを含みますから、受動態(受け身)に似ている構文としてまとめて理解するのもよいでしょう。

ただし、get 受動態(get-passive)という言葉は、それなりに使われているのに対して、get 以外の一般動詞 + 過去分分詞の構文が受動態(受け身)と呼ばれることは、ほぼないといえるかと思います。2023年7月時点で私がサーチしてみた範囲での話ですから、異論もあるかもしれません。また、今後、変わってくるかもしれません。

いずれにしても、英文法において、分類の仕方は一通りではなく様々な解釈がありえますが、あまり一般的でない名称を使うと、一々、説明しなければいけないため、非常に不便です。

ですから、「 get 以外の一般動詞も受動態を作りますか?」という質問に対する答えとしては、「同じ形は作りますが、一般的に受動態とは呼ばれません。」となります。

SVC の構文中の一部をなすグループに「SVC のCが過去分詞の文」のグループがあり、さらにその中に「受動態」があるイメージです。

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